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「抵当権消滅請求制度」 について
ある不動産を買い受けようと思っていますが、その不動産には不動産の価値を大幅に上回る抵当権が設定されています。不動産を買い受けた後に抵当権を消滅させることができる制度があると聞きましたが、どのような制度でしょうか?



 
抵当権消滅請求制度を利用することにより不動産を買い受けた後に抵当権を消滅させることが可能です。

1.滌除とは
   
 
抵当権の設定されている不動産(抵当不動産)を買った者(買受人)は、いつ抵当権を実行されて所有権を失うのかわからないので、抵当権の額が不動産の価格を上回っている、オーバーローン状態の不動産等を流通させるためには、抵当不動産の買受人に、抵当権を消滅させる制度を設ける必要があります。反面、抵当権は価値を把握するにすぎない権利なので、不動産の価値に見合う返済を受ければ、抵当権者の保護としては十分であるとも言えます。このような趣旨から、抵当不動産の買受人には、滌除(てきじょ)という方法が認められていました。



 
滌除は抵当不動産の買受人が相当と考える不動産の評価額分の支払を抵当権者に申出し、その承諾を得て抵当権を消滅させることができる制度です。ここで買受人から提供される金額を抵当権者は了承する必要はありませんが、了承しない場合、抵当権者は申出を受けてから1ヵ月以内に申出人に対して増価競売の請求をして、更に1週間以内に増価競売の申立てをしなければならず、これをしないと申し出金額を承諾したことになって、申し出金額の支払で抵当権は消滅してしまいます。また、申し出を拒否して増価競売した結果、申し出金額より1割以上高い金額で競落する者がいない場合は、抵当権者自らが申し出金額より1割高い金額でその不動産を買い受けなければなりませんでした。
 しかし、増価競売を申し立てたり、不動産の買い取り義務などが課されることは、抵当権者にとっては大きな負担となるので、滌除が抵当権を妨害する手段として利用されることが多くありました。

2.新しい抵当権消滅請求制度
   
 
今回、滌除制度を改めてできたのが抵当権消滅請求制度(平成16年4月1日施行)です。抵当権消滅制度は従前の滌除に比べると、抵当不動産の買受人に抵当権を消滅させる方法を与えることは滌除と同じですが、いくつかの点で抵当権者の負担を軽減しました。
第1に、抵当権者は、買受人からの申出を受けた場合、承諾したと見なされる期間を1ヵ月以内から2ヵ月以内としました。これによって、抵当権者は、買受人の申し出を受けるべきかどうかの判断を十分にできるようになりました。
第2に、抵当権者が申し出を拒否して増価競売になった場合、仮に申出額より1割以上高い金額で競落する者がいなくても、自ら競落する必要がなくなりました。
なお、従前の制度では、抵当権者が抵当権を実行する場合には、抵当不動産の買受人に対して滌除権行使の機会を与えるために、抵当権を実行する旨の通知を買受人にしなければならないとされており、通知後1ヵ月待って初めて抵当権実行を申し立てることができましたが、抵当権消滅制度では抵当権実行に際して抵当権者が買受人に実行通知を行う義務を廃止しました。

 

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