ただ、修繕義務は、賃貸借の目的物にキズが生じた場合に常に発生するというわけではありません。例えば、台風で飛ばされた石が屋根の瓦にあたって、瓦にヒビが入った場合は、修繕義務は発生しないとされています。なぜなら、この程度のキズでは賃借人の使用収益に支障は生じていないと評価できるからです。そもそも修繕義務が発生する根拠は、賃貸人が賃借人に対して、積極的に使用収益させる義務があったからでした。そうすると、社会通念上賃借人による使用収益に支障が生じるキズでない限り、賃貸人としては使用収益させる義務に不履行はありませんから、修繕義務を負わないということになります。つまり、賃貸人の修繕義務の有無は、社会通念上賃借人の使用収益に支障が生じるか否かを基準に判断されるのです。 |